学校法務の研究室

弁護士法人小國法律事務所の公式ブログです。
労働法、私立学校法、学校教育法の話題をつぶやいています。

重版のお知らせ(実務私立学校法)

そこそこ売れていると言われていた某書籍ですが、お陰様で重版が決まりました。

ニッチな分野の法律書で重版がかかることはそれほど多くないので、お買い上げいただいた方には感謝しきりです。

この売れ行きであれば、次の法改正に合わせて改訂もできるのではないかと、妄想に浸っています。

ということで、いつもの宣伝を貼り付けておこうと思います。
まだお持ちでない方も、2冊目をお求めの方も、手に取っていただけると喜びます。

★実務 私立学校法★
著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊



実務 私立学校法
小國隆輔
日本加除出版
2024-06-04



実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]
実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]

執筆:弁護士 小國隆輔




ひな形を見るときの注意点ー内部通報規程

最近よく改正される法律の一つに、公益通報者保護法というものがあります。

ありえないぐらいざっくりまとめると、次のような内容を定めた法律です。
 ①事業者は、公益通報に対応するための体制を整備しないといけない。
   ※従業員数が300人以下の事業者は、努力義務。
 ②公益通報をしたことを理由に、解雇、懲戒、契約解除などの
  不利益取扱いをしてはいけない。
 ③公益通報者保護法に違反すると、行政による勧告、命令、公表
  などの対象になることがある。

最近の改正で、この法律で保護される者の範囲が拡大されたり、事業主がとるべき措置が増えたり、行政の権限が強くなったりしているわけですね。

で、この公益通報者保護法。労働者に対する解雇や懲戒の効力について定めているので、労働法グループの法律の一つです。
労働基準法とか、労働契約法の仲間ですね。
公益通報に関する学内規程は、就業規則や給与規程とお友達です。

ややこしいのは、学校法人の運営の適正を確保するという文脈で、公益通報に対応する体制は、内部統制システムに組み込まれます。
この観点からは、公益通報者保護法は私学法グループの法律の一つともいえます。
公益通報に関する学内規程は、寄附行為、寄附行為施行細則、監事監査規程などともお友達なわけです。

特に新規にご依頼いただく学校法人の方からは、学内規程をチェックしてほしいというご要望がよくあります。
どの程度詳細にチェックする必要があるか、リトマス紙的に拝見する規程の一つに、公益通報規程(又は内部通報規程)が挙げられます。
例えば、次のような条文が置かれていると、他の学内規程もきちんとアップデートされているだろうな、という推測が立ちます。
 ・公益通報の対象となる労働者に、過去1年以内の退職者が含まれている。
 ・役員も公益通報をすることができる旨が定められている。
 ・内部通報について定めることを意識した定め方になっている。

ちなみに、公益通報者保護法については、最新の法改正が2026年12月1日に施行されます。
今後は、この法改正が反映されているかをチェックすることになるのかなーと思っています。


執筆:弁護士 小國隆輔


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★実務 私立学校法★
著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊



実務 私立学校法
小國隆輔
日本加除出版
2024-06-04



実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]
実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]

ひな形を見るときの注意点

改正私学法に基づく決算が近づいてきたということで、監査報告書など、決算関係のひな形をちらほら見かけるようになってきました。

ただ、玉石混交というか、独創的なひな形を目にすることもしばしばあります。
どのひな形を参考にするのも自由なのですが、法律や政省令に則した内容になっているかは、確認しておきたいところです。
監査報告書であれば、少なくとも、私学法施行規則が求める記載事項を網羅していることは確認しておきましょう。

まず、計算関係書類+財産目録(貸借対照表に対応する項目)から。

会計監査人を設置しない法人であれば、次の5点ですね。(私学法施行規則31条)
 ① 監事の監査の方法及びその内容
 ② 計算関係書類が当該学校法人の財産及び収支の状況を全ての重要な点に
  おいて適正に表示しているかどうかについての意見
 ③ 監査のため必要な調査ができなかつたときは、その旨及びその理由
 ④ 追記情報(会計方針の変更、重要な偶発事象、重要な後発事象など)
 ⑤ 監査報告を作成した日

会計監査人を設置している法人であれば、次の6点です。(私学法施行規則35条)
 ① 監事の監査の方法及びその内容
 ② 会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨
  及びその理由(会計監査報告が提出されたなった場合は、会計監査報告を
  受領していない旨)
 ③ 重要な後発事象(会計監査報告の内容となつているものを除く。)
 ④ 会計監査人の職務の遂行が適正に実施されることを確保するための体制に
  関する事項
 ⑤ 監査のため必要な調査ができなかつたときは、その旨及びその理由
 ⑥ 監査報告を作成した日

あと、全学校法人共通で、事業報告書の監査については、次の6点です。(私学法施行規則40条)
 ① 監事の監査の方法及びその内容
 ② 事業報告書及びその附属明細書が法令又は寄附行為に従い当該学校法人の
  状況を正しく示しているかどうかについての意見
 ③ 当該学校法人の理事の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは
  寄附行為に違反する重大な事実があつたときは、その事実
 ④ 監査のため必要な調査ができなかつたときは、その旨及びその理由
 ⑤ 内部統制システムに関する理事会決議がある場合において、その内容が
  相当でないと認めるときは、その旨及びその理由
 ⑥ 監査報告を作成した日


以上の記載事項が網羅されていれば、その監査報告書はとりあえず法令違反ではないと思います。
網羅されていなかったら、他のひな形を参照するか、自力で書き加えないといけないですね。

まあ、おたくのひな形はどうなんだ、と問われると何も言い返せないわけですが・・・

玉ではないとしても石ではないと信じたい。


執筆:弁護士 小國隆輔


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★実務 私立学校法★
著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊



実務 私立学校法
小國隆輔
日本加除出版
2024-06-04



実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]
実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]

監査報告書(会計監査人設置法人)

新法に基づく監査報告書に記載すべき内容は、学校法人の種別によって異なります。

大きく分けると、①大臣所轄学校法人等(=会計監査人を設置している)と、②それ以外の知事所轄法人(=会計監査人を設置していない)の2種類です。

ただ、②でも、会計監査人を設置していたり、内部統制システムの整備に関する理事会決議があったりすると、その部分は、①の監査報告と同じ内容を記載することとなる点は、要注意です。

で、本日は、①を前提にした会計監査人設置法人の監査報告書のひな形です。


 ひな形 監査報告書(会計監査人設置法人)

こちらも、私学則で要求される監査報告の内容を網羅して、私学法やら寄附行為作成例やらに則した内容にしたつもりですが、やっぱり自信はありません。

「ここ違うんじゃない?」などのご指摘がありましたら、コメント欄からいただければ幸いです。



ひな形のご利用についての留意点

◇当ブログで公開するひな形は、執筆者が私的に作成したものであり、法的な正確性・妥当性を保証するものではありません。したがって、ひな形の利用により何らかの損害が発生したとしても、その責任を負うものではありません。

◇この記事で公開しているひな形は、学校法人の役員・職員の方が非営利・無償で利用する場合に限り、著作権フリーです。

◇当ブログは個別の法的アドバイスの提供を目的とするものではありません。ひな形に関する個別のご質問・ご相談は、顧問契約がある場合に限って承っています。


執筆:弁護士 小國隆輔


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★実務 私立学校法★
著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊



実務 私立学校法
小國隆輔
日本加除出版
2024-06-04



実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]
実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]

雑談ですが…(令和光の最高裁判所)

一部SNS界隈で、一部弁護士などが盛り上がっている話題なのですが…

最高裁が判決や決定を出すと、裁判所のウェブサイトに掲載されることがあります。
最新の判例を迅速に確認できるので、弁護士など法律を扱う人たちは、ときどき確認しています。

で、最近掲載された最高裁決定が、一部で注目されているようです。
最初の方だけ抜粋すると、こんな感じです。


⑴ 原告は、令和7年5月、A弁護士(以下「本件弁護士」という。)を訴訟代
理人として、本件弁護士が作成した「遍く女性が光り輝く令和光の離婚等請求事件
訴状(19:47)(令和管轄:仙台家庭裁判所)」と題し、その提出先を「遍く
女性が光り輝く令和光の最高裁判所」とする書面(以下「本件訴状」という。)を
当裁判所に提出した。
⑵ 本件訴状には、原告について、「光り輝く令和原告」の肩書が付され…[以下略]


いや、弁護士をつけていない本人訴訟では、ユニークな訴状をしばしば見かけるのですが、弁護士がこの書面を最高裁に出したって、なかなかの破壊力です。
ちなみに、民事訴訟の訴状は、内容に応じて、管轄の地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所(ごく稀に高等裁判所)に出すことが原則です。
なので、最高裁に訴状を出しても却下されるだけで無意味なのですが、なぜこうなったのか…
最高裁が真面目に却下理由を述べているあたりも、じわじわくる感じがします。

下記URLから全文を読むことができるので、興味のある方は是非どうぞ。
 
令和7年(マ)第244号 離婚等請求事件 令和8年1月28日第一小法廷決定

本日は雑談だけでした。
次回から、私学法か労働法の話に戻ります。


執筆:弁護士 小國隆輔


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著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊



実務 私立学校法
小國隆輔
日本加除出版
2024-06-04



実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]
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事務所紹介
名称    :弁護士法人小國法律事務所
事務所HP:http://www.oguni-law.jp/
大阪弁護士会所属
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