サッカーワールドカップ、昨日の日本対ドイツは見ごたえのある試合でしたね。
サウジアラビアでは、初戦でアルゼンチンに勝ったということで、王様の一声で、試合翌日は国を挙げて休日になったとか何とか。
日本も休日にならんかなぁ…と思ったのは私だけではないはずですよね。
ということで、学校法務とは何の関係もないですが、日本の偉いさんの一声で休日になったら、裁判所と弁護士がどうなるのか、脳内シミュレーションをしてみました。
まず、その日に入っていた裁判期日はどうなるでしょう。
休日になったら裁判期日を開けないので、期日変更をする必要があります。
民事訴訟法と刑事訴訟法の条文を引いてみましょう。
まずは民事訴訟93条です。
(期日の指定及び変更)
第93条 期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定する。
2 略
3 口頭弁論及び弁論準備手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り許す。ただし、最初の期日の変更は、当事者の合意がある場合にも許す。
4 略
(期日の呼出し)
第94条 期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。
2 略
偉いさんの一声が「顕著な事由」だと解すれば、いきなり休日になっても、期日変更はできそうですね(93条3項)。
ただ、期日の呼出しをどうやってやるのか、謎です。
予定されていた期日の時刻までに、裁判所が期日変更の決定をして、裁判所から弁護士に期日変更の通知をしないといけないので(94条1項)、民事裁判を担当する裁判官と書記官は、偉いさんの一声では休むことができなさそうです。
では、刑事裁判はどうでしょう。
刑事訴訟法276条を見てみましょう。
第276条 裁判所は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判期日を変更することができる。
2 公判期日を変更するには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。但し、急速を要する場合は、この限りでない。
3 略
どうやら、裁判所が職権で期日変更をすることができるようです。
事前に、検察官と、被告人or弁護人の意見を聴かなければならないのですが、「急速を要する場合」には意見聴取を省略できます。
たぶん、偉いさんの一声は「急速を要する場合」に当たりますから、検察官と弁護士はお休みにしても大丈夫そうですね。
ただ、急速を要しても、裁判所の期日変更の判断を省略することはできません。
ということで、刑事裁判を担当する裁判官と書記官も、偉いさんの一声では休むことができなさそうです。
まあ、弁護士の方も、打合せ予定が入っていたクライアントなどに、「偉いさんの一声に従って今日はお休みにします」と連絡せんといかんので、結局出勤する破目になるんでしょうね。
仕事中心の考え方はよろしくないと思うのですが、ほとんどの職場は同じようなものでしょう。
日本人は勤勉だなぁ…と思いつつ、もうちょっと大らかでもいいような気もします。
執筆:弁護士 小國隆輔
サウジアラビアでは、初戦でアルゼンチンに勝ったということで、王様の一声で、試合翌日は国を挙げて休日になったとか何とか。
日本も休日にならんかなぁ…と思ったのは私だけではないはずですよね。
ということで、学校法務とは何の関係もないですが、日本の偉いさんの一声で休日になったら、裁判所と弁護士がどうなるのか、脳内シミュレーションをしてみました。
まず、その日に入っていた裁判期日はどうなるでしょう。
休日になったら裁判期日を開けないので、期日変更をする必要があります。
民事訴訟法と刑事訴訟法の条文を引いてみましょう。
まずは民事訴訟93条です。
(期日の指定及び変更)
第93条 期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定する。
2 略
3 口頭弁論及び弁論準備手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り許す。ただし、最初の期日の変更は、当事者の合意がある場合にも許す。
4 略
(期日の呼出し)
第94条 期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。
2 略
偉いさんの一声が「顕著な事由」だと解すれば、いきなり休日になっても、期日変更はできそうですね(93条3項)。
ただ、期日の呼出しをどうやってやるのか、謎です。
予定されていた期日の時刻までに、裁判所が期日変更の決定をして、裁判所から弁護士に期日変更の通知をしないといけないので(94条1項)、民事裁判を担当する裁判官と書記官は、偉いさんの一声では休むことができなさそうです。
では、刑事裁判はどうでしょう。
刑事訴訟法276条を見てみましょう。
第276条 裁判所は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判期日を変更することができる。
2 公判期日を変更するには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。但し、急速を要する場合は、この限りでない。
3 略
どうやら、裁判所が職権で期日変更をすることができるようです。
事前に、検察官と、被告人or弁護人の意見を聴かなければならないのですが、「急速を要する場合」には意見聴取を省略できます。
たぶん、偉いさんの一声は「急速を要する場合」に当たりますから、検察官と弁護士はお休みにしても大丈夫そうですね。
ただ、急速を要しても、裁判所の期日変更の判断を省略することはできません。
ということで、刑事裁判を担当する裁判官と書記官も、偉いさんの一声では休むことができなさそうです。
まあ、弁護士の方も、打合せ予定が入っていたクライアントなどに、「偉いさんの一声に従って今日はお休みにします」と連絡せんといかんので、結局出勤する破目になるんでしょうね。
仕事中心の考え方はよろしくないと思うのですが、ほとんどの職場は同じようなものでしょう。
日本人は勤勉だなぁ…と思いつつ、もうちょっと大らかでもいいような気もします。
執筆:弁護士 小國隆輔