働き方改革法で導入された年5日の年休取得義務、細かいルールが多いので、今でもご相談をよく受けます。

FAQということで、当事務所によく寄せられるご相談を紹介します。

Q1.年5日の年休取得義務は、非正規雇用も含めて、全教職員が対象になる?
A.その年に、10日以上の年休を付与された教職員が対象です。
 非常勤の職種だと、年休の日数が10日未満のこともあるので(労基法施行規則
 24条の3第3項参照)、その場合は対象外です。

Q2.「年5日」とは、4月1日~3月31日の間に5日取得させよ、ということ?
 それとも、1月1日~12月31日の間とういうこと?
A.その人が、その年の分の年休を付与された日から1年以内、という意味です。
 例えば、4月採用で10月1日に10日の年休をもらった人であれば、翌年9月30日
 までに最低5日は消化してもらわないといけません。

Q3.使用者による時季指定をするときに、気を付けることはある?
A.本人の意向を聴取して、その意向を尊重するように努めなければ
 なりません(労基法施行規則24条の6)。ただ、そこまでするのであれば、
 本人から年休申請をさせて、労働者による時季指定とした方が良いでしょう。

Q4.使用者による時季指定をした後、年休日を変更することはできる?
A.労働者による時季指定の場合と異なり、使用者の時季変更権はありません。
 厚労省の通達では、再度本人の意向を聴取して、その意向を尊重して年休日を
 再指定(=変更)することは可能とされています。このあたりの取扱いが
 ややこしくて面倒なので、Q3に書いたとおり、労働者による時季指定の方が
 おすすめです。

Q5.労働者による時季指定や計画年休で3日消化した人がいれば、
 使用者による時季指定ができるのは、あと2日という理解でよい?
A.そのとおりです。

Q6.労働者による時季指定や計画年休で5日以上消化した人がいれば、
 使用者による時季指定はできないという理解でよい?
A.そのとおりです。

Q7.年休を使い切った人が、体調不良などで休みたいと言ってきたら、
 どうしたらいいでしょう?
A.欠勤扱いです。法律上は、欠勤日の分の給与を支払う必要はないのですが、
 実際に給与をカットするかどうかは、就業規則や給与規程を確認してください。

Q8.年休を使いたがらない者がいるので、使用者による時季指定をしたの
 ですが、年休日に出勤してきたら、どうしたらいいでしょう?
A.帰らせてください。

Q9.労使協定による計画年休制度を利用しているのですが、年休日に出勤
 してきたら、どうしたらいいでしょう?
A.帰らせてください。

Q10.自分で指定した年休日に出勤してきた者がいたら、どうしたらいい
 でしょう?
A.帰らせてください。


ざっと思いつくのはこんなところですかね・・・
折を見て、年休の時季指定以外にも、FAQを作っていこうと思います。


執筆:弁護士 小國隆輔

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