本日も、寄附行為作成例の附則を元気に見ていきましょう。

とりあえず、附則3項の条文を貼り付けます。

 3 この寄附行為の施行の際現に在任する役員又は評議員
  であって、令和7年度の定時評議員会の日よりも前に
  任期が満了するものの任期については、その終期を令和
  7年度の定時評議員会の終結の時まで伸長する。

少し前の記事で書いたとおり、改正法&新寄附行為施行時点(つまり、令和7年4月1日午前0時)で在任中の役員・評議員の資格・構成については、令和7年の定時評議員会終結時まで、旧ルールが適用されます。
この経過措置によって、定時評議員会終結時までは、理事と評議員の兼職が許されたり、特別利害関係人の就任制限を気にしなくてよかったりします。

あ、少し前の記事はこちらです。
  役員・評議員の定数、資格及び構成(寄附行為作成例附則2項)

ということは、令和7年4月1日午前0時より後、定時評議員会終結より前に役員・評議員の改選をすると、新しい役員・評議員には、直ちに新法・新寄附行為のルールが適用されます。
ということは、令和7年4月1日~定時評議員会終結のスキマ期間には、役員・評議員の中に、旧ルール組と新ルール組が混在することになります。
ということは、理事と評議員の兼職ができるのかできないのかよくわからなくなりますし、特別利害関係人のカウントができなくなってしまいます。

ということで、このスキマ期間に役員・評議員の改選はしない方が良いわけですね。

でも、令和7年5月31日とかに任期満了を迎える方が、いらっしゃるかもしれません。
多数の役員・評議員を欠員にするわけにもいかないので、放っておくと、スキマ期間に役員・評議員の改選が発生してしまいます。

そこで、寄附行為の附則に条文を置くことで、スキマ期間に改選が生じないようにしよう、というのが寄附行為作成例附則3項です。
ごちゃごちゃとわかりにくく書かれていますが、要するに、スキマ期間に任期満了を迎える人がいたら、定時評議員会終結まで改選を先送りにします、という条文です。

スキマ期間に改選期(任期満了)を迎える役員や評議員がいらっしゃる学校法人では、たぶん、寄附行為作成例附則3項のような条文は必須だろうと思います。


執筆:弁護士 小國隆輔


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