6月14日版の文科省説明資料をぽちぽちと読み込んでいるのですが、???と思う記載がちらほらあるように思います。
あ、文科省の説明資料は、いつものリンク先からどうぞ。↓
◎私立学校法の改正について(令和5年改正)
特に気になったのがこちら。文科省説明資料p116のQA12です。
Q12:現在、代表業務執行理事に相当する役職は置いておらず、令和7年4月1日
から代表業務執行理事を置きたいと考えているところ、令和7年4月1日より前に開
催する理事会で選定することは可能か。【令和6年6月14日追加】
A12:可能です。
大前提として、新法と新寄附行為は、令和7年4月1日施行なので、令和7年3月31日以前には、新法・新寄附行為の条文はまだ効力を持っていません。
法的には、新法・新寄附行為の条文はこの世に存在しない、ということです。
なので、令和7年3月31日以前に、新法・新寄附行為に基づく手続きをとることはできません。
(現行法・現行寄附行為に基づいて、同じような手続きをとれることはあるかもしれないです。)
で、上記のQA12なのですが…
Qでは、現行寄附行為には代表業務執行理事に相当する役職(理事長以外に代表権を持つ理事)を置いていない学校法人が前提とされています。
Aでは、この学校法人で、令和7年4月1日より前(=令和7年3月31日以前)に、代表業務執行理事を選定する理事会決議を行うことが、可能という回答が記載されています。
・・・これはいったいどういうことでしょう?
法的には存在しない条文に基づいて、法的には存在しない役職を選定することができるというのは、法律学の回答としては、明らかに誤りです。
文科省説明資料p116のQA12の記載が何を言っているのか、もはや私には理解できません。
ちなみに、令和元年改正(中期事業計画や役員報酬基準が導入された改正)のときは、改正法の附則に、中期事業計画作成や役員報酬基準の策定に必要な手続きは新法施行前でも行うことができる、という経過措置が定められていました(令和元年法律第11号附則9項)。
これに対し、今回の法改正では、事前に準備行為を行うことができるという経過措置は置かれていません。
ということで、文科省説明資料p116のQA12のとおりに手続きをとると、万一訴訟等の法的係争が起きた場合に、代表業務執行理事の選定決議が無効と判断される可能性があります。
一弁護士としては、このQAの記載には従わず、新法・新寄附行為に基づく手続きは、令和7年4月1日以降に行う方が安全だと思っています。
執筆:弁護士 小國隆輔
<以下宣伝>
★実務 私立学校法★
著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊
実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]
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◎私立学校法の改正について(令和5年改正)
特に気になったのがこちら。文科省説明資料p116のQA12です。
Q12:現在、代表業務執行理事に相当する役職は置いておらず、令和7年4月1日
から代表業務執行理事を置きたいと考えているところ、令和7年4月1日より前に開
催する理事会で選定することは可能か。【令和6年6月14日追加】
A12:可能です。
大前提として、新法と新寄附行為は、令和7年4月1日施行なので、令和7年3月31日以前には、新法・新寄附行為の条文はまだ効力を持っていません。
法的には、新法・新寄附行為の条文はこの世に存在しない、ということです。
なので、令和7年3月31日以前に、新法・新寄附行為に基づく手続きをとることはできません。
(現行法・現行寄附行為に基づいて、同じような手続きをとれることはあるかもしれないです。)
で、上記のQA12なのですが…
Qでは、現行寄附行為には代表業務執行理事に相当する役職(理事長以外に代表権を持つ理事)を置いていない学校法人が前提とされています。
Aでは、この学校法人で、令和7年4月1日より前(=令和7年3月31日以前)に、代表業務執行理事を選定する理事会決議を行うことが、可能という回答が記載されています。
・・・これはいったいどういうことでしょう?
法的には存在しない条文に基づいて、法的には存在しない役職を選定することができるというのは、法律学の回答としては、明らかに誤りです。
文科省説明資料p116のQA12の記載が何を言っているのか、もはや私には理解できません。
ちなみに、令和元年改正(中期事業計画や役員報酬基準が導入された改正)のときは、改正法の附則に、中期事業計画作成や役員報酬基準の策定に必要な手続きは新法施行前でも行うことができる、という経過措置が定められていました(令和元年法律第11号附則9項)。
これに対し、今回の法改正では、事前に準備行為を行うことができるという経過措置は置かれていません。
ということで、文科省説明資料p116のQA12のとおりに手続きをとると、万一訴訟等の法的係争が起きた場合に、代表業務執行理事の選定決議が無効と判断される可能性があります。
一弁護士としては、このQAの記載には従わず、新法・新寄附行為に基づく手続きは、令和7年4月1日以降に行う方が安全だと思っています。
執筆:弁護士 小國隆輔
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著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊
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