本日から、寄附行為施行細則の条文案を作っていきたいと思います。

細則に何を定めるか、特に決まりはないのですが、次のような事項を定めることをお勧めしています。

・寄附行為を読むだけではわからない、手続きの詳細
  例:理事会の議長は何をすればいいのか
  例:評議員以外で、評議員会に同席できるのは誰か
・寄附行為に書かれた抽象的な用語の具体化
  例:理事会決議が必要な「多額の借財」は、いくら以上か
  例:電磁的方法としてどのようなものを用いるか
・寄附行為に従った事務処理を、どの部署が担当するか
  例:理事会議事録の作成・保管は、理事長室が担当する
  例:計算書類等の作成・保管は、経理部が担当する

前回の記事に書いた通り、寄附行為の条文をコピペすることは、基本的にNGです。
コピペすることが法律違反とは言いませんが、あまり意味がありません。
 ※前回の記事はこちらからどうぞ。↓
  寄附行為施行細則に何を書こう

ということで、まずは理事会の議長に関する条文を考えてみます。

次のとおり、寄附行為作成例の理事会の条文では、議長の決め方しか定められておらず、議長が何をすればいいのかわかりません。

 (運営)
 第19条 理事会に議長を置き、理事長をもって充てる。
 2 前条第2項及び第4項並びに第29条第2項の規定に基づき理事会を招集
  した場合における理事会の議長は、出席理事の互選によって定める。

寄附行為施行細則に、議長のお仕事を定めておけば、議事進行がスムーズにいきそうですね。
例えば、次のような条文を細則に置いてみてはいかがでしょうか。

 (議長の互選)
 第××条 寄附行為第19条第2項による議長の互選は、挙手又は投票のほか、
  出席理事が推薦し、他の出席理事に異議がないことを問う方法によって行う。
 (議長の職務)
 第××条 議長は、理事会を主宰し、その議事進行を行う。
 (開会及び閉会等)
 第××条 議長は、出席理事(オンライン会議による出席者又は書面若しくは
  電磁的方法による出席者を含む。)の人数が、寄附行為第××条の定足数を
  充足していることを確認しなければならない。
 2 理事会は、議長の開会宣言によって開始し、閉会宣言によって終了する。
 3 議長は、必要に応じ、理事会の途中で休憩を設けることができる。
 (議案)
 第××条 理事会の議題に対する議案は、議長が提出する。
 2 理事は、議長の許可を得て、議案を提出することができる。
 3 議案の提出者は、議案の趣旨及び内容を説明しなければならない。この
  説明は、当該議案を担当する部署の職員に行わせることができる。
 (出席者の発言)
 第××条 理事会の出席者が発言するときは、議長の許可を得なければならない。

なお、この記事では「寄附行為施行細則」という名称にしていますが、「寄附行為施行規則」「理事会会議規則」など、学内で使いやすい名称を採用してください。
寄附行為の下位規程であることがわかれば、名称は何でもいいということですね。

こんな感じで、細則の条文をぽちぽちと作っていこうと思います。

冊子にまとめたら売れますかね…?


執筆:弁護士 小國隆輔

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2024-06-04



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