本日からは、理事会の運営について、寄附行為施行細則で定めていこうと思います。

理事会に関する寄附行為作成例の条文は、13条、14条、18条~22条あたりです。
多いのでここには貼り付けないですが、皆さん見ておいてくださいね。
※寄附行為作成例の全文は、こちらからどうぞ。↓
寄附行為作成例(文部科学大臣所轄学校法人向け)(令和6年3月5日大学設置・学校法人審議会(学校法人分科会)決定)

繰り返しになりますが、寄附行為と同じ内容を細則に定める必要はありません。
寄附行為に書けない細かいことや、寄附行為を読んだだけではわからないことを、細則に書くのが基本的な作法です。

細則に何を書くかは自由ですが、例えばこんな感じで細則に定めればいいんじゃないかなー、という条文を並べていきます。
まず、招集に関する条文です。

 (招集)
  第××条 理事会の招集は、次のいずれかの方法で通知するものとする。
   (1) 文書を交付又は送付する方法
   (2) pdfファイルを電子メールで送信する方法
   (3) △△クラウドにアップロードしたpdfファイルを各理事が
     ダウンロードする方法
  2 前項第2号及び第3号のpdfファイルは、印刷できる設定にしなければ
   ならない。

ほとんどの学校法人の寄附行為では、理事会の招集を書面又は電磁的方法で通知する旨を定めています。
特に電磁的方法については、具体的に何をすればいいのかわからないので、細則で決めておくことがお勧めです。
上記の(2)、(3)と第2項は、電磁的方法の具体的な中身について、改正法&改正施行規則の定めに沿った内容です。
特に第2項は見落としがちなルールなので、細則に定めておくと安心ですね。

ちなみに、電磁的方法の一つとして、招集通知のデータを保存した媒体(CD-RとかUSBメモリとか)を交付又は送付する方法も可能とされています。
いやいや、そんなことするなら紙媒体を渡した方が楽でしょ…ということで、上記の条文では、この方法は採用しないことにしました。

あとはお好みですが、次のような条文を置いておくのもアリだと思います。

  3 寄附行為第18条第6項の「会議の1週間前まで」とは、招集通知を発した
   日と会議の日の間に、7日以上あることをいうものとする。

会社法の裁判例では、招集通知を発出する際の「X日前」とは、「中X日」と読みます。
たぶん、私立学校法も同じ解釈が採用されます。
つまり、「会議の1週間前」は、「中7日」と読むので、実質的には会議の8日前に招集通知を発送しなければなりません。
例えば、7月26日に理事会を開催したかったら、招集通知は、「7月19日まで」ではなく、「7月18日まで」に発送しなければなりません。
実務的に間違いを起こしやすい点なので、これも細則に書いておけば安心ですね。


執筆:弁護士 小國隆輔

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