本日は、理事会の決議要件を、寄附行為施行細則に定めてみます。

理事会決議については、普通決議、特別決議、特殊決議の3つに分けて、寄附行為作成例第20条に定められています。
長くなるので、第20条第1項だけ貼り付けておきます。

 (決議)
 第20条 理事会の決議は、法令及びこの寄附行為に別段の定めがある
  場合を除くほか、決議について特別の利害関係を有する理事を除く
  理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う。

別にこの条文だけでも不都合はないように思えますが、実際に理事会をやってみると、これどうするんだっけ? という場面が結構あります。
寄附行為施行細則で、ちょっとした疑問を解決しておくと、何かと安心ですね。

例えば、次のような条文を置いてみたらいいんじゃないかな、と思っています。

 (定足数の判断)
 第××条 理事会の定足数の充足は、議案ごとに、決議の時点で判断し
  なければならない。

 (決議の方法)
 第××条 理事会の決議は、口頭、挙手、投票のいずれかの方法で行う。
 2 口頭による決議は、議長から出席者に対し、異議がないか問う方法で
  行うことができる。
 3 投票による決議は、記名投票によって行う。

 (特別利害関係人の退席)
 第××条 決議について特別の利害関係を有する理事は、当該議案の
  審議を開始するときに、退席しなければならない。
 2 前項の規定にかかわらず、議案の説明を行わせる場合その他必要が
  あると認める場合には、決議を行う時まで、当該理事を会議に同席
  させることができる。

 (白票等の取扱い)
 第××条 投票の際に白票があった場合は、出席者に算入し、賛成票に
  算入しない。
 2 決議の際に退席又は棄権した者は、出席者に算入しない。


特に、白票の取扱いは、後々トラブルになることがあります。

きちんと決めておかないと、欠席扱いにすべきだ、賛成でも反対でもない票として数えるべきだ、など色々な意見が出てきて、可決・否決の判断ができなくなってしまいます。

上記の条文例では、投票した以上出席者にはカウントする(=定足数の算定で出席にカウントする)、賛成と書いていない以上賛成にはカウントしない(=実質的に反対票と同じ扱いになる)、というルールを採用しています。

もちろん、別のルールを採用しても構いません。
どのルールでもいいから、ルールが決まっていることが大事だということですね。


執筆:弁護士 小國隆輔

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