本日は、評議員会の日程の決め方をおさらいしたいと思います。

現在は、評議員会の日程(会議の日時及び場所)は理事長決裁で決めることが多く、日程変更が必要になった場合も、理事長決裁で変更することができます。

これに対し、改正法では、評議員会の日時・場所、議題などが理事会決議事項になりました(改正法70条2項)。
理事会決議の後で、理事長決裁で日時・場所・議題などを変更できたら、評議員会の招集を理事会決議事項にしたことが骨抜きになってしまいます。
改正法の条文に明示されていないですが、一度決めた評議員会の日程を変更する場合、改めて理事会で決議しなければならないと考えるべきでしょう。

この辺りのルールは学内規程で定めておきたいものですが、寄附行為作成例には、評議員会の日程変更に関する条文がありません。
仕方がないので、寄附行為施行細則や、評議員会運営規程に、日程変更の条文を置いておくとよいと思います。
例えば、次のような条文ですね。

 (評議員会の招集に係る理事会の決議)
 第××条 理事会の決議によって評議員会の招集を決定した後、次の
   各号に掲げる事項を変更する場合、再度理事会で決議しなければ
   ならない。
   (1) 会議の日時及び場所
   (2) 会議の目的である事項があるときは、当該事項
   (3) 会議の目的である事項に係る議案が確定していたときは、当該議案
   (4) 私立学校法施行規則第20条各号に定める事項

ちなみに、評議員会の招集の決定は、私学法が定める理事会決議事項なので、寄附行為、寄附行為施行細則、評議員会運営規程などの学内規程によって、常任理事会決議事項や理事長決裁事項に変えることはできません。

理事会で決議しないといけないことがたくさん増えて面倒ですが、理事会の監督機能強化という改正法の趣旨からは、必要なことなのでしょうね。


執筆:弁護士 小國隆輔

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2024-06-04



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