毎日暑いですね。。。
7月に入り、決算理事会やら定時評議員会やら役員の改正やらが一段落した頃合かと思います。

さて、本日は、理事会や評議員会に意思表示書面で出席した人の取扱いです。

対面で出席した人、オンライン会議で出席した人、事前に意思表示書面(議案に対する賛否の意思を記載した書面)を提出した人は、いずれも出席扱いです。
出席扱いというのは、定足数の判断においては出席者にカウントし、議案の可決・否決の判断においては賛成票又は反対票にカウントするということですね。

で、ときどき困るのが、意思表示書面に空欄がある場合です。

例えば、第1号議案には賛成、第2号議案には反対と書いているのに、第3号議案には賛否を書いていない場合です。

次のような理事会で考えてみましょう。
 ・理事定数は9名。
 ・ある理事会の日、4名が出席、4名が欠席、1名が意思表示書面を提出した。
 ・意思表示書面には、第1号議案は賛成、第2号議案は反対と記載されていたが、
  第3号議案に対する賛否は記載されていなかった。
 ※意思表示書面を提出した理事を、仮にAさんと呼ぶことにします。

前提として、出席・欠席は、議案ごとに判断します。

第1号議案と第2号議案については、Aさんは議案に対する賛否の意思を示しているので、出席者にカウントします。
理事定数9名、出席者が5名(対面出席4名+意思表示書面1名=5名)なので、過半数の出席を確保しており、定足数を満たします。

で、第1号議案と第2号議案のいずれも、対面出席者の2名が賛成、2名が反対したとしましょう。
第1号議案は、対面出席2名+Aさんで、3名が賛成です。出席者5名の過半数の賛成を得たので、可決ですね。
これに対し、第2号議案は、対面出席2名のみ賛成です。出席者5名の過半数の賛成がないので、否決ですね。

では、第3号議案はどうでしょうか。
理事定数9名なので、理事会の定足数は5名です。
Aさんは第3号議案に対して賛否の意思を表示していないので、出席者にカウントできません。
比ゆ的に言えば、第3号議案の審議に入る直前に退席して帰宅してしまったようなものです。
出席4名なので、定足数未達となり、第3号議案を審議することはできないこととなります。

ということで、この理事会の結果は、次のとおりです。
 第1号議案:可決
 第2号議案:否決
 第3号議案:審議できず

長々と書き連ねましたが、実際には、第3号議案への賛否を記載し忘れただけの可能性が高いので、事務局からAさんに連絡して、改めて意思表示書面を提出してもらうのがいいのでしょう。


執筆:弁護士 小國隆輔

<以下宣伝>

★実務 私立学校法★
著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊



実務 私立学校法
小國隆輔
日本加除出版
2024-06-04



実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]
実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]