昨日の記事で予告したとおり、理事会の開催を省略する方法を考えてみたいと思います。
本日は、理事会の決議を省略する方法を考えてみます。
理事会の招集通知や議事録で、審議事項とか決議事項と書かれている案件ですね。
と言いつつ、理事会の決議事項について、理事会の開催を本当に省略することは、できません。
この点は、昨日の記事で書いたとおりです。
ただ、省略に近いことはできなくもなく、それなりに工夫することができます。
理事会の開催を省略したくなるのは、緊急の案件が発生して理事の出席確保が難しいとか、法令・寄附行為の定めによって理事会決議が必要だけど、その1件のためだけに理事会を招集するのは大変だとか、そんな場面です。
ということは、こういう場面を乗り切れるのであれば、「理事会の開催の省略」にこだわる必要はないわけです。
当事務所でよくお勧めしているのは、①オンライン出席の活用と、②意思表示書面の活用です。
①のオンライン出席は、コロナ禍をきっかけによく利用されるようになりました。
zoomとかteamsとかで出席した場合、相互に議論できる通信環境であれば、現実の出席と同様に出席者としてカウントすることができます。
特に学外の理事だと、会議の時間帯はあいていても遠方からの移動時間がとれないこともあります。
オンライン会議を利用すれば、このような場合にも出席していただけます。
②の意思表示書面は、私学法改正前から利用されていた制度です。
現在の私学法では、42条4項に根拠規定があり、寄附行為に書面出席が可能である旨を定めることで利用することができます。
◇私学法42条4項(抜粋)
4 学校法人は、寄附行為をもつて定めるところにより、理事が書面又は[中略]情報通信の技術を利用する方法[中略]により理事会の議決に加わることができるものとすることができる。
意思表示書面を提出した理事も、議案に対する賛否が示されていれば、出席者にカウントすることができます。
極端に言えば、理事長=議長だけが会議室に座っていて、他の理事は全員意思表示書面の提出で済ませても、理事会決議は成立します。
(認可申請のときなどに所轄庁から何か言われるかもしれないですが…。)
ということで、オンライン出席と意思表示書面を活用することで、実質的に、理事会の開催省略に近い進め方が可能です。
次回以降の記事では、報告事項を省略する法定の手続と、意思表示書面を利用する際の注意点などを解説したいと思います。
執筆:弁護士 小國隆輔
<以下宣伝>
★実務 私立学校法★
著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊
![実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/9595/9784817849595_1_2.jpg?_ex=128x128)
実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]
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理事会の招集通知や議事録で、審議事項とか決議事項と書かれている案件ですね。
と言いつつ、理事会の決議事項について、理事会の開催を本当に省略することは、できません。
この点は、昨日の記事で書いたとおりです。
ただ、省略に近いことはできなくもなく、それなりに工夫することができます。
理事会の開催を省略したくなるのは、緊急の案件が発生して理事の出席確保が難しいとか、法令・寄附行為の定めによって理事会決議が必要だけど、その1件のためだけに理事会を招集するのは大変だとか、そんな場面です。
ということは、こういう場面を乗り切れるのであれば、「理事会の開催の省略」にこだわる必要はないわけです。
当事務所でよくお勧めしているのは、①オンライン出席の活用と、②意思表示書面の活用です。
①のオンライン出席は、コロナ禍をきっかけによく利用されるようになりました。
zoomとかteamsとかで出席した場合、相互に議論できる通信環境であれば、現実の出席と同様に出席者としてカウントすることができます。
特に学外の理事だと、会議の時間帯はあいていても遠方からの移動時間がとれないこともあります。
オンライン会議を利用すれば、このような場合にも出席していただけます。
②の意思表示書面は、私学法改正前から利用されていた制度です。
現在の私学法では、42条4項に根拠規定があり、寄附行為に書面出席が可能である旨を定めることで利用することができます。
◇私学法42条4項(抜粋)
4 学校法人は、寄附行為をもつて定めるところにより、理事が書面又は[中略]情報通信の技術を利用する方法[中略]により理事会の議決に加わることができるものとすることができる。
意思表示書面を提出した理事も、議案に対する賛否が示されていれば、出席者にカウントすることができます。
極端に言えば、理事長=議長だけが会議室に座っていて、他の理事は全員意思表示書面の提出で済ませても、理事会決議は成立します。
(認可申請のときなどに所轄庁から何か言われるかもしれないですが…。)
ということで、オンライン出席と意思表示書面を活用することで、実質的に、理事会の開催省略に近い進め方が可能です。
次回以降の記事では、報告事項を省略する法定の手続と、意思表示書面を利用する際の注意点などを解説したいと思います。
執筆:弁護士 小國隆輔
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著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊
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