本日は、理事会に出席できない理事が提出する意思表示書面の注意点を、Q&Aの形でまとめてみます。

Q1 そもそも、意思表示書面ってどんな制度?
A1 理事会に出席できない理事が、議案に対する賛否を記載した書面を提出することで、理事会の議決に加わることができるという制度です。

Q2 私学法ではどう定められているの?
A2 私学法42条4項で、寄附行為で定めるところにより、理事が書面等で議決に加わることができるようにすることができる、と定めてられています。
つまり、寄附行為に定めていなければ、意思表示書面を利用することはできません。
また、紙媒体の書面を提出しなければならないのか、メール等でもいいのかも、寄附行為で決めることとされています。

Q3 議決権の行使を、他の理事に委任することもできる?
A3 できません。議案に対して自分の意見を明らかにすることは理事の最も基本的な職務であることと、特定の理事が2票以上持つことは許容されないためです。
私学法改正前は、委任状方式も可能だという解釈の余地もありましたが、私学法42条4項が許容するのは書面等で「議決に加わること」だけなので、他の理事に議決権の行使を委任することはできません。

Q4 議案に修正があった場合、意思表示書面を提出した理事の取扱いはどうなるの?
A4 誤字の修正等の軽微な修正であれば、予定通り出席扱いで構いません。軽微でない修正の場合は、採決にかけられる議案(修正後の議案)に対する賛否が表明されていないので、その理事は欠席扱いです。

Q5 1号議案は賛成、2号議案は反対、3号議案は記載なし、という書面が提出されたら、この理事は出席と欠席どちらになるの?
A5 1号議案と2号議案は出席、3号議案は欠席です。2号議案の採決が終わった時点で退出した場合と同じと考えれば、イメージしやすいと思います。


他にも何かありますかね・・・
気づいたらこっそり加筆するかもしれません。

執筆:弁護士 小國隆輔


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