理事会の決議を実質的に省略する方法は二つ前の記事で解説したので、本日は、理事会の報告を省略する方法です。

理事会へ報告しないといけない事項はたくさんあると思います。
私学法の条文で目立つのは、利益相反取引や競業取引をした後の理事会への報告です(私学法40条、一般法人法92条2項)。
この他にも、実務上、学生生徒募集の状況、管理職の人事、予算の進捗など、理事会ではいろいろな報告がされています。

で、報告のためだけに、遠方からたくさん理事に来てもらうのはちょっとなー、ということもありますよね。
例えば、資料を見たら十分理解できて、口頭の説明はいらないこともありますよね。

私学法改正で、このような場合には、理事会への報告をオフィシャルに省略することができるようになりました。

現在の私学法では、理事、監事又は会計監査人が、理事会に報告すべき事項を全理事と全監事に通知したときは、理事会への報告を省略できる旨が定められています。(私学法44条1項、一般法人法98条1項)
これ、わりと使い勝手の良いルールではないかな、と思います。

とても大事な注意点として、理事から理事会への定期報告(大臣所轄学校法人等では3か月以内ごと、それ以外の法人では年2回以上)を省略することはできません。
これを省略してしまうと、理事会が理事の職務を監督する機会が失われてしまうということですね。

なお、私学法44条1項、一般法人法98条1項に基づいて報告を省略したときは、その旨の理事会議事録を作成することとされています。


執筆:弁護士 小國隆輔


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発刊年月:2024年5月刊



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日本加除出版
2024-06-04



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