私学法と労働法の話題ばかりなので、久しぶりに学生・生徒に関わる法律の話をしようと思います。
学生・生徒対応は、学校法人の顧問弁護士としてお受けすることが多い類型の法律問題の一つです。
特に、非違行為や学費未納、複数回の原級留置などによって学生・生徒を退学(又は除籍)にする場合、訴訟等に発展する可能性もあります。
退学や除籍について考える前提として、在学契約の基本をおさらいしておきましょう。
ご存じの方も多いと思いますが、私立学校への入学は、法的には、在学契約の締結を意味します。
「入学したい!」という入学者側の意思表示と、「入学してほしい!」という学校法人側の意思表示が合致することで在学契約が成立し、学生・生徒の地位を取得することとなります。
民法などの法令に「在学契約」という条文はないのですが、学納金返還請求にかかわる著名な最高裁判決で、在学契約の法的性質が整理されています。(最高裁平成18年11月27日判決)
ざっくりまとめると、次のとおりです。
◇在学契約は、有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約と解するのが相当である。
◇大学は、在学契約に基づき、学生に対して、講義、実習及び実験等の教育活動を実施する方法で教育役務を提供する義務と、これに必要な教育施設等を利用させる義務を負う。
◇学生は大学に対して、これらに対する対価を支払う義務を負う。
他にも大事なこと(学生は大学の包括的な指導、規律に服するとか)もいろいろ言っているのですが、在学契約の基本的な性格は、上記の3点に表れています。
ちなみに、「有償双務契約」とは、売買契約のように、契約当事者がどちらも義務(代金支払義務と目的物引渡義務とか)を負うタイプの契約のことです。
在学契約も、大学と学生が、教育の提供義務と学費の支払義務を負っているということですね。
除籍、退学など、学生・生徒がその地位を失う措置は、法的には、在学契約を解消するという意味です。
ということは、民法などに定められた契約法のルールが適用されます。
次回以降の記事で、除籍、退学と契約法のルールの関係をおさらいしていこうと思います。
執筆:弁護士 小國隆輔
<以下宣伝>
★実務 私立学校法★
著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊
![実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/9595/9784817849595_1_2.jpg?_ex=128x128)
実務 私立学校法 [ 小國隆輔 ]
学生・生徒対応は、学校法人の顧問弁護士としてお受けすることが多い類型の法律問題の一つです。
特に、非違行為や学費未納、複数回の原級留置などによって学生・生徒を退学(又は除籍)にする場合、訴訟等に発展する可能性もあります。
退学や除籍について考える前提として、在学契約の基本をおさらいしておきましょう。
ご存じの方も多いと思いますが、私立学校への入学は、法的には、在学契約の締結を意味します。
「入学したい!」という入学者側の意思表示と、「入学してほしい!」という学校法人側の意思表示が合致することで在学契約が成立し、学生・生徒の地位を取得することとなります。
民法などの法令に「在学契約」という条文はないのですが、学納金返還請求にかかわる著名な最高裁判決で、在学契約の法的性質が整理されています。(最高裁平成18年11月27日判決)
ざっくりまとめると、次のとおりです。
◇在学契約は、有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約と解するのが相当である。
◇大学は、在学契約に基づき、学生に対して、講義、実習及び実験等の教育活動を実施する方法で教育役務を提供する義務と、これに必要な教育施設等を利用させる義務を負う。
◇学生は大学に対して、これらに対する対価を支払う義務を負う。
他にも大事なこと(学生は大学の包括的な指導、規律に服するとか)もいろいろ言っているのですが、在学契約の基本的な性格は、上記の3点に表れています。
ちなみに、「有償双務契約」とは、売買契約のように、契約当事者がどちらも義務(代金支払義務と目的物引渡義務とか)を負うタイプの契約のことです。
在学契約も、大学と学生が、教育の提供義務と学費の支払義務を負っているということですね。
除籍、退学など、学生・生徒がその地位を失う措置は、法的には、在学契約を解消するという意味です。
ということは、民法などに定められた契約法のルールが適用されます。
次回以降の記事で、除籍、退学と契約法のルールの関係をおさらいしていこうと思います。
執筆:弁護士 小國隆輔
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★実務 私立学校法★
著者:小國隆輔/著 定価8,800円税込
判型:A5判 ページ数:720頁
発刊年月:2024年5月刊
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