よく見たら、先月はこのブログを1回しか更新していなかったようですね、、、
事務所の移転などなどが一応落ち着いたので、ぼちぼち通常運転で更新していこうと思います。

さて、本日も除籍・退学に関する話題の続きです。

学費の未納があり、督促をしても納付されない場合には除籍(在学契約の解除)をすることになります。

前回の記事の最後で少し触れた事例では、除籍をすることは可能でしょうか。
問題となるのは、こんな事例です。

 ①納付期限までに学費が納付されない(法的には、債務不履行の発生)
 ②未納学費を納付してほしいという通知を送る(法的には、支払いの催告)
 ③催告で定めた期限を過ぎても学費が納入されないので、学内の手続で除籍を決定
 ④当該学生に除籍を通知する直前に、学費が納入された

この場合、この学生さんは除籍になるのでしょうか。
催告で定めた納付期限までに学費が支払われていないし、学内の手続(学長決裁とか)で除籍を決定済みだから、今さら学費を納付されても・・・というのが実務感覚かもしれません。

法的な答えは一応決まっていて、債務不履行があっても、契約が解除される前に債務の本旨に従った履行がされたときは、解除権は消滅する、と考えられています。
とても古い判例ですが、大審院大正6年7月10日判決がこのように述べていて、この判例が現在でも先例として生きています。

私学の実務で言い換えると、学費の未納があり、督促をしても支払わないから学内で除籍を決定しても、当該学生(未成年なら保護者でもよい)に除籍を通知する前に未納の学費が納付されたら、もう除籍にはできない、ということです。

学校側から見ても、学生を除籍にすると学費収入が減るわけですし、未納の学費を全額支払ってくれたのであれば、何が何でも除籍にしなくてもいいんじゃないかな、と思います。


執筆:弁護士 小國隆輔


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2024-06-04



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